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岩手県庁と早川書房がコラボした短編集「ILC/TOHOKU」に収録された一編。完成したインターナショナルリニアコライダーへ赴任したエレノア・ベーカーの希望に燃えたさまが初々しい。花巻のわんこそばや一関の餅料理など、赴任地岩手で体験する生活文化も彼女にとっては新鮮な驚きだ。子どもに好かれるエレノアは研究と同時に子どもたちへの広報の仕事も引き受ける。その仕事を通して陸前高田出身の少年と親しくなったエレノアは東北の人々が経験した東日本大震災での破壊の様子を知って心を痛める。同時に岩手・東北の人々がILCにかけた復興への期待の大きさを噛みしめ、更に研究に力をいれようと誓う。水沢の宇宙遊学館で木村栄の功績を知り、地球を流体と捉え直すことでILCの実験データの解釈が変わることに気付いたエレノアは、ILCでの研究を大きく発展させ、宇宙リニアコライダーの建設につなげていく。後に、完成した宇宙リニアコライダーで初代所長となった研究者が見学に訪れた少年たちに宇宙コライダーの実験の意義を語る。その初代所長こそ、かつてエレノアの最初の友となった陸前高田の少年であった。星雲賞常連作家野尻抱介が詳細に現地岩手を取材し、岩手とILCのあるべき未来を描いた希望の物語。
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